study: New Year Tableware

「おせちをお重に詰める歴史は意外に浅い」という新聞記事を読んだ。読んだあと、正月のうつわを選ぶことは、新年早々自分にとって心地いい暮らし方を振り返ることでもあるのだなと考え、元日の食卓をしつらえる心持ちに変化が生まれたという、スタディ。

2026年、元旦。我が家のテーブルでは、大量の煮しめ(というか筑前煮)をお重に詰める一方、真ん中にメインで置いたのは、白い大皿だった。スペースの配分に気を配る必要のあるお重より、のびのびと配置できるワンプレートがいいと採用しただけだったけれど、それがまさにこの記事にある「お正月のワンプレート」だったことには、すこしむずがゆい思いがした。記事の内容はこうだ。

“民俗学者の新谷尚紀さんによると「正月の重詰めの歴史は浅い」のだという。おせちの語源は「御節供(おせちく)」で、正月や節句の膳のことを指した。江戸時代には正月の食事は膳が中心で、後期になると酒の肴(さかな)の重詰めも加わり、縁起物として数の子やたたきゴボウ、黒豆などを詰めていた。この重詰めの方が「おせち」と呼ばれて正月料理の中心になるのはあとのことで、新谷さんは「大正・昭和に婦人雑誌による主婦層向けの情報発信が影響を与えた」と語る。” (朝日新聞デジタル「広がるお正月のワンプレート 『おせち=重箱』の歴史は意外と浅い」)

大正・昭和期に都市生活をする中間層の女性には地方出身者が多かった。時代は高度成長期。実家ではない場所で独自の生活をつくりあげた彼女たちが、新年にあたり採用した新しい習慣が、メディアが提案する重詰めだった。うちの母は東北出身で1970年代に結婚し東京で核家族をスタートさせた。年末年始は、神奈川の義実家でおせちを三段重に詰めるのを毎年見ていたから、私もそれが日本の伝統だと思い込んでいたけれど、重詰めの習慣は、この時代の生活様式の変化を機にやっと定着したということか。さらに、2011年から続く年末年始の食卓写真調査によると、近年の流行はやはり「脱・重箱」だという。一人ごはんに適したワンプレートの盛り付けが定着し、おせちに影響したことは容易に想像できる。いずれワンプレートが伝統ととらえられる日が来るかもしれない。うつわの使い方は生活様式の変化に合わせて変わる。だとすると、プレゼンテーションはどうあれ、おせち料理をいただく意味を次世代に伝えていくことがやはり大切なのだな。

私はといえば、重箱を使わない盛り付けのアイデアには、事欠かないけれど、おせち料理は、歳神様を迎えともに食事をいただく神人供食ということが頭をよぎるから、節度あるしつらえを心がけたい。なにも高級なものを揃えることではないように思っていて、普段使う食器をいかしながら、つぎのようなことを意識しつつ、楽しんで盛り付ける様を元日の朝から家族に見せつけている。

1.新年にはじめて口をつけるお椀は、特別なものを。
2.盛り皿や取り皿は、おせちの色味が映える白い皿で。縁起のいい形や絵付けの小皿で華やかさを足す。
3.アクセントになる箸置きや酒器があれば、なおよい。

お椀はアンティークか黒漆。アンティークは骨董市でリーズナブルに手に入ることがある。

取り皿は、ほっとできる普段使いの白が結局一番いいと思う。

形がユニークだったり絵付けが華やかな小皿は、気分がアガる。

カジュアルだが凛とした白漆の酒器とお正月らしい紅白の箸置きというベージュ×赤の組み合わせの可愛さに萌え♪

数年前はこんな気分だった。

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